センニンソウを利用した扁桃炎の民間療法

扁桃腺はのどの奥に左右一個ずつ並んでいるリンパ組織の一つで、幼少期には免疫機能の一部を構成していますが、成長期をへて成年期以降になるとそのサイズは小さくなり、さほどの機能を有しないことになります。
ところが年代をとわず細菌やウイルス感染をきっかけにして炎症症状をきたすことが頻繁に起こる箇所です。
正式には口蓋扁桃に発生する炎症を扁桃炎と言います。

治療しなくても免疫機能の働きで自然治癒しますが、腫れが酷くいたみなどの自覚症状が顕著な場合には抗生物質の点滴投与を受けることになります。
また膿が大量に溜まっていたり、はれが酷く気道閉塞の危険性もあるときには扁桃炎の患部にメスをいれて切開し、中にたまっている膿を排出させるような外科的治療が行われることもあります。

ところで扁桃炎は慢性化しやすい傾向をもっていることでも知られています。
中程度以上の肥満体質の方では口蓋扁桃周辺にも余計な肉がついてしまって扁桃腺肥大状態になっていることがよく観察されるところです。
肥満の結果気道も狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群を併発することが珍しくありません。
無呼吸状態を解消するために口呼吸を頻繁に睡眠中に繰り返すことになるので、口内は乾燥し細菌やウイルス感染に脆弱になってしまいます。
こうなると僅かな刺激がきっかけになり、扁桃炎の発症を繰り返すようになってしまいます。

このような状況がこの先も継続すると判断されるときには扁桃腺を摘出する場合もあります。
先ほど御紹介したように成人以降の年代の方にとっては、さほど有益な機能を持っているわけでもないので、感染を繰り返し慢性化するようであれば、いっそのこと扁桃腺を取り除くほうが長期的に見てもメリットが大きいと判断されるからです。

このように扁桃炎にかかっても症状の程度に応じて色々な治療の選択肢があるので、重症化することはほとんどありません。
他方で日本国内ではセンニンソウと言う植物を用いた民間療法が行われてきました。

作用機序は不明、効果がないなら病院受診も要検討

センニンソウとはつる性の多年草で日本全国に自生しており、日当たりのよい道端や藪などで白い花をつけたその姿を目にすることが出来ます。
開花するのが見られるのは盛夏から初秋にかけての頃で、がく片4枚の白い花を多数つけます。
センニンソウの名前の由来は、花の後背部から伸びた銀白色の長い毛が密生している様子が仙人のひげに似通っていることにあります。
別名は「馬くわず」「馬の歯おとし」などを持っていることからも窺えるように有毒植物の一種です。
有毒植物としての有毒成分が含まれているのは葉及び茎などの液汁とされており、これらに接触すると炎症を引き起こします。
誤って服用しても胃腸炎を引き起こします。

センニンソウはこのような明らかな有毒植物であるにもかかわらず、古くから扁桃炎に対して民間療法の一つとして長く使用されてきました。
その具体的方法ですが夏から秋にかけて採取したセンニンソウの葉をすりつぶす、そしてそのすりつぶしたものを手首の内側の皮膚に固定して一昼夜放置するというものです。
有毒成分の影響で皮膚は水泡が出来て赤くはれ上がりますが、その固定したセンニンソウをすりつぶすことで出来たものを取り除き、水泡内部の体液を抜くことでこの民間療法は完結します。
発赤した跡はしばらく残りますが、時間経過にともなって治癒します。

喉の奥の患部とはまったく違う部位に施術を加える民間療法ですが、結果的には扁桃炎に大きな症状改善効果を持つことが知られています。
経験則的に高い効果を持つとされているものの、科学的にその作用機序が解明されたわけではありません。
皮膚に液汁が接触すれば一時的に跡を残す皮膚炎を引き起こし、服用すれば胃腸炎を引き起こすなど有毒植物なのは確かです。
試みるのも良いですが効果が芳しくないときは一般病院への受診を要検討するべきです。